2009年04月06日

インバル&都響のベートーヴェン@東京芸術劇場

今シーズンの都響「作曲家の肖像」シリーズは大人気で、会員券は売り切れ状態。4月4日の会場も、ほぼ満員状態。これはひとえにインバル効果だろう。今シーズンの「作曲家の肖像」シリーズは、5回中3回もインバルがタクトをふるうのだ。ある意味、定期演奏会以上の力の入れようである。これで人気が出ないはずがない。ワタシがこのシーリーズの定期会員に復帰したのも、まさしくインバル効果である。

指揮:エリアフ・インバル
ピアノ:ゲルハルト・オピッツ

《ベートーヴェン》
序曲「コリオラン」op.62
ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 op.19
交響曲第3番「英雄」 変ホ長調 op.55

しかし、インバルがホントにベートーヴェン向きの指揮者かという点については、かねてから不信感?を持っていた。彼は後期ロマン派のスペシャリストとしては高く評価されているけど、古典の演奏を聴いた記憶はほとんどないし、彼の傾向から考えてベートーヴェン以前の古典に向いているとは到底思えなかった。そして、このベートーヴェン・プログラムを聴いて思ったのだが、どうも適性に乏しいのではないかということだ。

演奏のレベルとしては、都響は最善を尽くしたと思う。あの弦楽器の厚みと光沢感を出せるオケは、たぶん国内には都響のほかにはない。その他のパートも、ほとんど文句はない。もっともffの限界に近づくと、急にリミッターがかかってしまうように感じるあたりは、オケの機能性の限界点なのだろうけど、それを除けばすばらしいレベルだと思う。

しかしインバルの「エロイカ」は、おのおのの楽想やフレーズが細かく切れてしまうような感じで、音楽的な繋がりが乏しい。後期ロマン派の曲ほどではないけれど、ところどころで加えるデフォルメがかなり強烈な違和感を生み出していることも指摘しておく必要がある。力演ではあるけれど、音楽的な美しさや、音楽に身を任せるような陶酔感はほとんど感じることができなかった。むしろ退屈と言ったほうがいいかもしれない。まぁ、インバルはもともとこういう傾向の指揮者なので、あらかじめ予想はしていたけれど、やっぱりインバルはインバルなのだ。

こう書くとインバルを貶しているように感じるかもしれないが、インバルはもともとハズレの演奏が多い指揮者だ。彼の場合、10回中1〜2回程度の当たりがあれば良いと思っているのだが、その当たりが超巨大なホームランを生み出すバッター、・・・じゃなくて指揮者なのだ。

なおピアノ協奏曲のオピッツは、初めて聴いたピアニストだが、とてもスバラシイ。ピアノの音色の真珠を思わせるような有機的な光沢感の美しさ、速いパッセージでも雑にならずに、きちんと分離して聞こえるテクニック、正統的な表現力、・・・・チェルカスキーとはタイプは違うけど、こういうピアニストを今まで知らなかったとは!!ぜひ、また聴きたいピアニストだ。

posted by のら at 22:37| Comment(0) | TrackBack(0) | orchestra-TMSO
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