2008年09月28日

アルミンク&NJPの「ばらの騎士」

新日本フィルの新たなシーズンの幕開けを飾る9月の定期演奏会は、R・シュトラウスの歌劇の中でも最も高い人気を誇るであろう「ばらの騎士」、その演奏会形式での上演だ。ホントは26日(木)のチケットを持っていたんだけど、仕事の都合で振替制度を利用し、ランクアップの差額を払ったもののなんとか土曜日の公演に振り替えが可能となった。会場のトリフォニーホールは、9割強の入り。

指揮:クリスティアン・アルミンク
元帥夫人:ナンシー・グスタフソン
オクタヴィアン:藤村実穂子
オックス男爵:ビャーニ・トール・クリスティンソン
ゾフィー:ヒェン・ライス
ファーニナル:ユルゲン・リン
マリアンネ:田中三佐代
ヴァルツァッキ:谷川佳幸
アンニーナ:増田弥生
歌手:佐野成宏
合唱:栗友会合唱団・東京少年少女合唱隊

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今回の座席は、3階のバルコニーR側。ステージは、後方にオーケストラ、前方左側に三角形のステージが作られ、コンサートオペラの形式ながら、そこで物語が展開される。したがって、私の席=バルコニーR側からは、ちょっと見にくいステージになってしまった。ちなみに上の写真は第2幕が終わっての休憩中のステージだ。

まずは飯塚励生のつくった演出から。このステージの一番の特徴は、たぶん元帥夫人の幼少時代と少女時代をイメージした天使が登場し、その二人がずっと物語の進行を見守り、そしてハッピーエンドに導くために舞台上で狂言回しを演じていることだろうと思う。この天使は劇団ひまわりの子役が演じていて、最初は何かな?と思ったし、天使がいなくても十分に物語としては成立するだけに必然性には乏しいと思うけど、まぁ、新しい試みとして率直に面白かったと思う。

登場人物の衣装を見ると、時代設定は20世紀前半か。飯塚の演出は、アイデアに満ちていて、それが最もたくさん凝らされていたのは第2幕。ばらの騎士が登場するシーンでは、1階客席通路に合唱団を並ばせて「ロフラーノ!」の合唱、そしてサイドの扉からオクタヴィアンが登場し、ステージに駆け上る。さらにオックス男爵の手下のチンピラが、ファーニナル家の女中たちを追い掛け回すシーンも1階と2階の客席だ。このようなコンサートオペラ形式の場合、客席とステージを一体化させる手法は定番だけど、とても効果的だ。このような形式での上演としては、やや演出過剰という声もあるだろうと思うけど、個人的には好きな系統の演出だ。また飯塚の演出する舞台を見てみたいと思う。

次に歌手。一番の収穫は、ゾフィーを歌ったヒェン・ライス。リンク先をごらんいただければお分かりの通り、とっても美人。ステージでの姿も良く映える。よく営業用の写真と実物で、「何年前の写真を使ってんねん」とか、「どんな修正してんねん」とか、その格差に驚かざるを得ないヒトも多いけど、この人に関してはそんな心配はご無用。声は、硬質でよく通るコロラトゥーラ系か。第2幕冒頭での結婚にあこがれる夢見る少女としての表現はイマイチだったけど、その後の気丈でしっかり者のゾフィーは、とても澪力的に演じてくれた。

ついで、オクタヴィアン役は初めてといいう藤村実保子。いまや日本を代表するメゾである藤村が、少年の役を歌うというのは注目だ。それにしても彼女の声量はスゴイ。メゾとして美しい声を保ちながらも、ホールを満たす声量の豊かさには驚くばかり。ビャーニ・トール・クリスティンソンの演じたオックス男爵も、往年のクルト・モルを思わせるような声で、これからが楽しみな歌手だ。ナンシー・グスタフソンの元帥夫人も良かったが、もう少し地位の高さに裏付けられた凛とした強さを感じさせても良かったのではないかと思う。ファーニナルを歌ったユルゲン・リンは、この役柄としてはちょっと声が強すぎるイメージかも。歌手の佐野は、端役であるにもかかわらずサスガです。

オケは、R・シュトラウスの官能的な色彩感が不足気味。それに旋律の歌わせ方が浅い感じがしたし、歌手も含めた全体のアンサンブルとしてはもっともっと向上が望めるのではないかと思う。私の席の位置に原因があるのかもしれないけど、声とオケのバランス、歌手同士の声のバランスがイマイチのシーンも多かった。

それでもこの「ばらの騎士」を見終わった後は、あの三重唱〜二重唱の美しさが心に残る。やっぱり、「ばらの騎士」はいいオペラだよなぁ。

posted by のら at 18:30| Comment(0) | TrackBack(1) | orchestra-NJP
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R.シュトラウス「薔薇の騎士」op.59
Excerpt: <新日本フィル第436回定期演奏会> 2008年9月27日(土)15:00/すみだトリフォニーホール 指揮/クリスティアン・アルミンク 新日本フィルハーモニー交響楽団 栗友会合唱団 東京少年少女合唱..
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