2008年04月30日

インバル&都響の「千人の交響曲」

マーラーの交響曲第8番は「千人の交響曲」と呼ばれている。初演時、合唱、ソリスト、オケを合わせて千人以上がステージの乗って演奏したことから、そういったニックネームがついたのだが、それゆえスケールの大きな曲というイメージが強い。私自身は、この曲を10回程度はナマで聴いてきたはずだけど、中にはこの曲のスケール感だけに注目が行ってしまうような演奏もあった。確かに、この曲は指揮者にとっても難しい曲だと思う。今から10年ほど前、インバルが都響を振った時の演奏も今一つ感心しない演奏だった。すでに断片的な記憶になってしまっているけど、テンポを必要上に揺らし、オケがついていくことができずに破綻した部分が目立った演奏になってしまった記憶がある。そんな記憶がある私は、あまり期待しないでサントリーホールに向かった。

指揮:エリアフ・インバル
ソプラノ:澤畑恵美
ソプラノ:大倉由紀枝
ソプラノ:半田美和子
メゾソプラノ:竹本節子
メゾソプラノ:手嶋眞佐子
テノール:福井敬
バリトン:河野克典
バス:成田眞
合唱:晋友会合唱団
児童合唱:NHK東京児童合唱団
合唱指揮:清水敬一
児童合唱指揮:加藤洋朗

会場はほとんど満員。Pブロックはもちろん合唱団で、オトナの合唱が約200人強、ステージ上の少年合唱は120人くらい。そしてオケ+バンダとソリストで150人くらいかな?、あわせて500人の交響曲。こんにちの交響曲第8番の演奏としては、標準的な人数だろう。

そしてインバルのマーラーは、12年前とどう変わったのだろうか。結論から言うと、今日の演奏は実に美しかった。この曲がこれほど美しいと思ったのは2004年5月のベルティーニ&都響の神懸かり的な演奏(横浜公演)以来だ。インバルとベルティーニでは、もちろんアプローチが違う。インバルはやっぱり通常のテンポでは演奏しない。第一部は異常に速い部分があっていささかヤリスギの感は否めないのだが、反対に第二部ではたっぷりと旋律を歌わせた演奏で、その対比によって後半の演奏が美しく浮かび上がった。特にテノールによるマリア崇拝の博士以降の美しさといったら、何に喩えたらいいだろう。ヴァイオリンが描き出す主旋律の繊細さは、室内楽的な美しさである。12年前の演奏よりも、はるかに素晴らしい演奏だ。

今日の演奏は単なるダイナミックな演奏ではなく、むしろ繊細さ、室内楽的な美しさを描き出すために壮大なパートがあるのではないか、・・・そう思った。これまで聞いたマーラーの交響曲第8番の中で、最高の演奏ではなかったけれど(やっぱベルティーニだ!)、それに次ぐ最上の部類の演奏であったことは間違いない。終演後、カーテンコールは延々と続き、オーケストラがステージを引き上げても拍手は鳴りやまない。インバルはステージに二度も呼び戻された。都響の素晴らしい演奏にも、改めて拍手を贈りたい。そして、きれいに揃えられた少年合唱、晋友会もレベルが高い合唱を聞かせてくれたことに感謝したい。

なお、バンダはLC・RCブロックの後ろに配置され、栄光の聖母の独唱はLBブロックの後ろだった。特に栄光の聖母の美しい歌声は印象的だった。

posted by のら at 22:44| Comment(0) | TrackBack(0) | orchestra-TMSO
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