3月3日、ニーナ・アナニアシヴィリが率いるグルジア・バレエの東京公演が始まった。東京文化会館は、空席が目立ち、7割ギリギリという感じの入り。ちょっと寂しい感じだったが、上演内容と会場の盛り上がりは、そんな空席の多さを感じさせないものだった。
まず、ニーナが演じるジゼル、心臓に病を持ちながらもアルブレヒトに恋し、そしてアルブレヒトに婚約者がいることを知って錯乱し、そして死んでしまう役柄である。・・・・・えーと、すいません。ワタシ、こういう感情過多の人って、どうも苦手。なんで死んじゃうのって感じで、ぜんぜん必然性を感じない。結局、ただの心臓発作だったら、唐突過ぎるストーリーだし。
それにウヴァーロフが演じるアルブレヒトだって、婚約者がいながらジゼルに近づくのはナゼ? どーして? バチルドの何が不満だったの? そんな人間模様のアヤがぜんぜん見えてこない。無駄にカッコイイけど、人間的にはダメダメなアルブレヒト・・・・。いやー、このバレエの中で主人公2人とも共感できないし、理解できない。そんなワケでこの演目は、避けているんだけど、今回はニーナが演じる最後のジゼルになるかもしれないとのこと。これは見に行かんとイカン。
で、どうだったかというと、やっぱニーナの表現力に脱帽ですYO。ちょっとふっくらした体型になったかなぁ・・・とも思うけど、動きは軽やかで、回転系のワザも軸が全然ぶれない。安定感抜群! 特に感心したのは腕のしなやかな動き、そこから生み出されるマイムの豊かな表現力。いやー、これを見るだけでも、来た価値があったというものデス。ウヴァーロフも、とてもよかった。カーテンコールでは、アナニアシヴィリ&ウヴァーロフへの惜しみない拍手が贈られていた。
コールドは、キレイに揃った感すくない、・・・・・とってもおおらかな群舞です。第2幕はそれなりにキレイに舞っていましたけど、第1幕はチト、・・・・。オケは、相変わらずのニュアンスに乏しい演奏で、ガッカリ感・・・というかヤッパリ感がただよう大味な演奏。こんな感じで「ロミオとジュリエット」を演奏するのは勘弁してほしいなぁ。
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≪ジ ゼ ル≫ 全 2 幕
2010年3月3日(水) 19:00〜21:15
音楽 : アドルフ・アダン
台本 : テオフィル・ゴーチエ,
ジュール=アンリ・ヴェルノワ・ド・サン=ジョルジュ
振付 : ジャン・コラーリ,ジュール・ペロー,
マリウス・プティパ
振付改訂 : アレクセイ・ファジェーチェフ
改訂振付補佐 : タチヤーナ・ラストルグーエワ
装置・衣裳 : ヴャチェスラフ・オークネフ
照明 : パウル・ヴィダル・サーヴァラング
指揮 : ダヴィド・ムケリア
管弦楽 : 東京ニューシティ管弦楽団
<出 演>
ジゼル : ニーナ・アナニアシヴィリ
アルブレヒト : アンドレイ・ウヴァーロフ
ベルタ(ジゼルの母) : ニーノ・オチアウーリ
アルブレヒトの友人 : ユーリー・ソローキン
公爵(バチルドの父) : パータ・チヒクヴィシヴィリ
バチルド(アルブレヒトの婚約者) : マイア・アルパイーゼ
ハンス(森番) : イラクリ・バフターゼ
ジゼルの友人 : アンナ・ムラデーリ,ニーノ・ゴグア
ナティア・ブントゥーリ,エカテリーナ・スルマーワ
ニーノ・アルブタシヴィリ,エカテリーナ・シャヴリアシヴィリ
パ・ド・シス : テオーナ・アホバーゼ,ニーノ・マハシヴィリ
ラーナ・ムゲブリシヴィリ,ニーノ・マティアシヴィリ
ワシル・アフメテリ,オタール・ヘラシヴィリ
メルガリエフ・ヤッサウイ
ミルタ(ウィリの女王) : ラリ・カンデラキ
ウィリたち : エカテリーナ・スルマーワ,アンナ・ムラデーリ
【上演時間】 約2時間15分 【終演予定】 21:15
第1幕 50分 − 休憩 20分 − 第2幕 55分
<追加>パ・ド・シスでのソロ:ヤサウイ・メルガリーエフ・
<変更>ウィリたち:ニーノ・ゴグア⇒エカテリーナ・スルマーワ