2009年06月15日

ベネヴィッツ・クァルテット@第一生命ホール

第一生命ホールのSQWシリーズ前半を締めくくるのは、「弦楽四重奏大国チェコ出身の若手新鋭が登場。2005年大阪国際室内楽コンクールで優勝し、日本ツアーを行ったベネヴィッツ・クァルテットが、2008年第8回「パオロ・ボルチアーニ賞」国際弦楽四重奏コンクール優勝者として、ワールド・ツアーの最後を飾る東京に凱旋、第一生命ホールに初登場する。」という触れ込みのクァルテット。客席は残念ながらカルミナよりもさらに減って、客席の半分以上が空席という感じ。

出 演
ベネヴィッツ・クァルテット
[イェルジー・ネメチェック /シュテパン・イェジェック(ヴァイオリン)、イェルジー・ピンカス(ヴィオラ)、シュテパン・ドレジャール(チェロ)]

曲 目
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第12番変ホ長調 op.127
シューベルト:弦楽四重奏曲第13番イ短調 op.29 D.804 「ロザムンデ」

でもですねー、ワタシも開演前にビール飲んでしまって、さらに曲目がどちらも苦手系だったのだよ。ベートーヴェンのSQは基本的に好きなんだけど12番はよく理解できないし、シューベルトはもともと苦手だし。そんなワケで、曲の感想はヌキ。

ただカルミナを聴いた次の日に新進のSQというのは、その違いが歴然とうなる。カルミナの歯切れのよう表現と比べて、ベネヴィッツはレガートでしっとりと歌い上げる。そして、カルミナの宝石的な硬質の美しさとは対照的に、ベネヴィッツはビロードのような上質な布地のような美しさ。ただアンサンブルの熟成度はかなり違って、まだ4人の音がキレイに解け合うまでにはもう少し時間がかかりそう。アンサンブルは、一日にして成らず、デス。

SQWシリーズは、秋から日本のSQシリーズが始まる。その時まで弦楽四重奏はオアズケ。

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カルミナ四重奏団@第一生命ホール その2

今回の第一生命ホールでのカルミナSQの公演は、全部で4回。3回目の公演は新国立劇場の「チェネレントラ」と重なってしまったので行けなかったけど、1,2,4回目の公演を聴くことができた。客数は相変わらず・・・(爆)。

【出 演】
◆カルミナ四重奏団[マティーアス・エンデルレ/スザンヌ・フランク(ヴァイオリン)、ウェンディ・チャンプニー(ヴィオラ)、シュテファン・ゲルナー(チェロ)]

【曲 目】
◆バルトーク:弦楽四重奏曲第2番op.17
◆シャーンドル・ヴェレッシュ:弦楽四重奏曲第1番
◆ダニエル・シュナイダー:弦楽四重奏曲第3番
◆ラヴェル:弦楽四重奏曲ヘ長調

この日の席は、前回から5mほど移動したトコ。そんだけの移動でずいぶんと音が変わるんで驚いた。弦の艶やかさが増して、残響音も適度になってイイ感じ。カルミナSQの美点が、ぐっと50% UP(前日比)。しかし選曲が、・・・・。どうもバルトークの旋律って苦手なんだよなぁ。なんか精神的にくら〜い闇の中に引き込まれる感じで、どうも共感できない。つづくヴェレッシュという作曲家の作品も、同じような傾向でダメ。これはあくまでも好みの問題なので、演奏の良し悪しではないのは言うまでもない。念のため。

後半のシュナイダーの曲は面白い曲。第1・2楽章はアラビア風の旋律を醸し出すヴァイオリンが魅力的で、第3楽章はジャズ的な要素が盛り込まれている。遊び心のエッセンスが、堅苦しげな弦楽四重奏曲に盛り込まれていると、鮨の中のワサビ的にイイ味を醸し出す(爆)。え、喩えがオカシイですか? そしてラヴェルは、まるでカルミナのために書かれたような曲。10年ほど前にもカルミナの演奏で聴いたことがあるハズだけど、そのときよりも演奏の肉付き・骨格がよくなって、推進力が増した感じ。

さて、10年ほど前にカルミナが来日したときに書いた文章があるデス。ちと紹介。

カルミナは、スイスのチューリッヒに本拠を置く若い世代のクァルテットである。私たちがスイスに抱く似合わせてイメージのひとつにアルプスの山脈があるのではないだろうか。カルミナの奏でる音楽は、たぶん、多くの人がアルプスに抱くイメージに近いのではないだろうか。清涼で高潔、精緻にして繊細、その反面、厳冬のアルプスを吹き抜ける風のような鋭利さを秘めている。カルミナのアプローチは、どの作曲家の曲を演奏するときでも基本的には同じように聴こえる。シューベルトだから歌曲的に歌わせよう・・・とか、ベートーヴェンだから渋く、ブラームスだから重厚に・・・などという作為はほとんど感じない。彼らは、透徹した譜読みと、徹底的に研ぎ澄まされた技巧から、音楽を再構築していく。これによって作曲家の個性が埋没してしまうわけではなく、より作曲家の表現したいことが明確に浮かび上がってくるのが不思議である。そして、これまでの弦楽四重奏団の演奏とカルミナのそれと比較すると、きっとカルミナの演奏は一枚も二枚もヴェールを取り払ったような明晰さを感じるに違いない。

その時から10年の時間が経過して、カルテットとしても傾向が少しづつ変わってきたのかもしれない・・・今回の3回の演奏を聴いてそう思った。基本的な機能性の高さはそのままに、作曲者の楽想にあわせて音楽の筆致がやや太くしたり、濃淡をつけたり、より伝統的なSQに近づきつつあるような気がした。もちろんイイ意味で。ぜひ来年も日本に来て欲しいデス。

posted by のら at 13:56| Comment(0) | TrackBack(0) | Classical Music