2009年06月08日

カルミナ四重奏団@第一生命ホール

室内楽を久しく聴いていない気がする。そう、・・・カザルスホールが事実上、幕を閉じて以降、室内楽というジャンルからは遠ざかっている。

ワタシに音楽を教えてくれたのは、・・・・まぁいろいろなコンサートを聴くことで音楽を教えてもらったんだけど・・・その師として筆頭に挙げてもいいと思うのは「カザルスホール」だ。ここで聴いた室内楽で、アンサンブルとは何かというのを学んだような気がするし、あのチェルカスキーに出会ったのもカザルスホールが最初だ。ピアノは別にしても、・・・アンサンブルの基礎の基礎は、やっぱ室内楽、それも弦楽四重奏だと思っていて、室内楽の緻密なアンサンブルを聴かずにオーケストラのアンサンブルを語るなかれ、ナノダよ(爆)。したがってワタシのオケへの最高の褒め言葉は「室内楽的なアンサンブル」だったりする。

こんなふうに室内楽について大上段に構えておきながら、たぶん10年ぶりくらいに弦楽四重奏を聴くことになった(爆)。あのカザルスホールで聴いたことがあるカルミナSQのコンサートが第一生命ホールで行われることを知ったのは先月中頃。しかも1回券でも3,500円と格安、さらにこのホールで行われるSQWシリーズ10回の券で買うと1回当たり2,000円と、卒倒するくらいに安いっ!しかもカルミナSQが4回も入っている!これはもう行くしか!そんなワケで、この週末は室内楽漬け。

20090606

カルミナ四重奏団
[マティーアス・エンデルレ/スザンヌ・フランク(ヴァイオリン)、ウェンディ・チャンプニー(ヴィオラ)、シュテファン・ゲルナー(チェロ)]

6/6(土)18:00
ハイドン:弦楽四重奏曲第77番ハ長調op.76-3 Hob.V-77「皇帝」
ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲第12番ヘ長調 op.96 B.179「アメリカ」
シューベルト:弦楽四重奏曲第14番ニ短調D.810「死とおとめ」

6/7(日)15:00
モーツァルト:セレナード第13番ト長調K.525「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
モーツァルト:弦楽四重奏曲第15番ニ短調 K.421
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第7番ヘ長調op.59-1 「ラズモフスキー第1番」

カルミナの実力は、カザルスホールで演奏して国内でも実証済み。ワタシ的な当時の印象は、スケルトン的な透明感を感じさせるアンサンブルは「上善水如(じょうぜんみずのごとし)」、つまりカルミナの澄み切ったアンサンブルは無用な自己主張せず、水のような透明感を感じさせ、さらさらと流れていく感じだった。今回、第一生命ホールで聴いたカルミナは、ちょっと印象が変わっていた。

ホールの音響は、カザルスホールと比べて残響音fが少なめな上に、折からの雨で湿度が高いためか、最初は弦楽器の鳴りがイマイチに感じられたが、音楽が進むに連れて魅力的な音を聴けるようになってきた。その音は、従来のスケルトン的な音楽の上に筋肉がついて、ところどころ力強さをも感じさせるもの。1stのアティアス・エンデルレは、音楽がもともと早い部分はより疾走感が感じられるよう、軽妙な歌いまわしを効果的に用いて音楽にコントラストをつけていく。特にこういったアプローチは、ロマン派で歌謡性にあふれた「アメリカ」や「死と乙女」では実に効果的で、音楽を盛り上げていく。

2日目は天気も回復して、湿度も下がり、弦楽器の調子も最初からヨサゲ。モーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」では、最初のテーマで軽妙な歌いまわしでスピード感を見せて、この日の挨拶。弦楽四重奏曲第15番は、モーツァルトでは珍しい短調の曲だが、もの悲しげで思索的な旋律を実に美しく歌わせる。苦手なモーツァルトだけど、いい曲だなぁ。こんなにじっくりと聴かせてくれるとはウレシイ誤算だ。さらにベートーヴェンは、カルミナの筋肉質になった音楽の良い面が現れて、適度な滋味深さを感じさせる演奏に仕上がった。

いずれの曲の演奏も、アンサンブルは絶妙。特に初日は久々の室内楽ということもあって、雑念を交えることなくカルミナの音楽に集中することができた。コンサートホールで、これほど音楽に没頭できたのは久しぶりかも。これほどの水準の演奏にもかかわらず、しかもチケット代は格安にもかかわらず、客の入りはイマイチで、初日は8割弱程度、2日目はさらに減って7割弱という感じ。これはモッタイナイ。12日と13日には、カルミナSQのコンサートがあるので、お時間のある人は是非聴くべし。

アンコール:6/6は、モーツァルトSQ19番「不協和音」の第2楽章と、ハイドンSQ79番「騎手」第2楽章。6/7は、JS.バッハ「フーガの技法」よりフーガ第1番と、モーツァルトSQ14番 第4楽章。

posted by のら at 00:02| Comment(0) | TrackBack(0) | Classical Music