あまりj上演される機会のない「ライモンダ」を上演するというので、ザハロワを目当てに新国立劇場に行ってきた。客席は意外と空席が多く、私がいた4階席だけだと7割程度の入りという感じ。私自身もこの演目を見たのは、たぶん10年以上前に一回だけは見たことはあるはずなのだが、・・・・この日の舞台をみて、全くはじめて見たかのような新鮮な気分で見ることができた(爆)。
グラズノフの作曲ということで、美しいメロディが続くんだけど、チャイコフスキーやプロコフィエフのように強い音楽的な魅力があるとは言いがたい。全体的には平板な音楽的な構成で、この音楽が長時間続くと、・・・・たぶん多くの音楽ファンは飽きてくるのではないか。あくまでもバレエの伴奏音楽としては問題はないが、この曲をオケのレパートリーとして演奏するのはちょっと魅力薄という感じがする。そんな音楽だが、演奏は頑張っていたと思う。それにしても、・・・新国立劇場のHPを見ても、当日の配役表を見ても、誰が指揮者でオケがどこだったのかが書かれていない! 信じられない! フリー配布のStage Noteのはかろうじてホームズビー・ウィルキンス指揮 東京交響楽団と書かれているけど、バレエにおけるオーケストラってこんな扱いでいいのか?あまりにも酷すぎですよ。
ストーリーは十字軍に出征したブリエンヌのいぬ間に、その婚約者ライモンダにアラブの王子アブデラクンマンが言い寄る。そこに帰ってきたブリエンヌと決闘となり、ブリエンヌが勝利して、結婚式~という単純明快で、イスラム圏の人が見たら怒りそうなストーリー。この振り付けでは、コールドの役割が非常に重要視されている。新国立劇場バレエのいちばんの美点は、コールドの一糸乱れぬ美しさだから、このアプローチはナットクだ。実際に第一幕の夢のシーンのフォーメーションのピタッと一致した動きには見とれてしまう。舞台装置や照明も美しくて、コレだけを見に行くとしてもそれなりの価値は見出せるだろう。
目当てのザハロワは、やっぱり抜群に美しい。マトヴィエンコは、ややジャンプ力不足を感じるけど、まぁまぁ。森田健太郎は、ザハロワをリフトした状態でコケタのでヒヤッとしたけど、ケガに発展しなくて良かった。
しかし、この作品が面白いかというとちょっと否定的にならざるを得ない。意外と平板な構成で、退屈な空気感が漂う。実際に幕間の拍手はあっさりで、ザハロワの登場だというのに、意外と盛り上がらない。劇j中で、時々空気を読めない拍手が起こったり、「えっ」と思うようなブラボーの声が飛んで、逆にシラケてしまう。やっぱり作品そのものの魅力が今ひとつという感じがするのだが・・・・・。
【振 付】 マリウス・プティパ
【改訂振付・演出】牧阿佐美
【作 曲】アレクサンドル・グラズノフ
【装置・衣裳】ルイザ・スピナテッリ
【ライモンダ】
スヴェトラーナ・ザハロワ(10・12・14日)
【ジャン・ド・ブリエンヌ】
デニス・マトヴィエンコ(10・12・14日)
【アブデラクマン】
森田健太郎 (10・12・14日)
ドリ伯爵夫人: 楠元郁子(10日,12日,14日)
アンドリュー2世王: 市川 透
クレメンス: 丸尾孝子(10日,12日,14日)
ヘンリエット: 西川貴子(10日,12日,14日)
ベランジェ:マイレン・トレウバエフ(10日,11日,12日,14日,15日)
ベルナール: 冨川祐樹(10日,11日)
第一ヴァリエーション: 厚木三杏(10日,12日,14日)
第二ヴァリエーション: 寺田亜沙子(10日,12日,14日)
スペイン人:井倉真未(10日,11日) 江本 拓(10日,11日,15日)
チャルダッシュ:西川貴子(10日,12日,14日)マイレン・トレウバエフ(10日,12日,14日)
グラン・パ ヴァリエーション:西山裕子(10日,12日,14日)
新国立劇場バレエ団